結論から言うと、大学コーチに送るサッカー選手プロフィールは「英文1枚・30秒で読める・数字と事実だけ」が基本です。 載せる項目はおおむね12個に決まっています。日本人選手が差をつけられるのは、①「Class of」(卒業年)を正しく書く、②プレミアリーグ・プリンスリーグなど日本の競技レベルを英語で一言説明する、③身長・体重をフィート・ポンドに換算する、④評定平均を5段階のまま尺度付きで示す、の4点です。この記事は2026年10月時点の一般的なガイドで、記載内容はNCAAなどの公式ルールではなく、リクルーティングの実務で広く共有されている慣行です。
大学サッカー留学全体の流れはアメリカ大学サッカー留学ガイドにまとめています。ここではコーチへの最初の「名刺」になるプロフィールの作り方を、日本人向けに具体的に解説します。
サッカー選手プロフィールとは? 12の基本項目
リクルーティング・プロフィール(player profile / soccer résumé)とは、コーチが選手を短時間で判断するための英文1枚の資料です。 最初のメールにPDFで添付し、同じ要点をメール本文にも書くのが一般的です。コーチは毎日多くのメールを受け取るため、1枚に収め、上から順に読めば分かる構成にします。
12の基本項目(チェックリスト)
- 1. 氏名:パスポートと同じローマ字表記・同じ順番
- 2. 卒業年:「Class of 2027」のように表記
- 3. ポジション:主ポジションとサブポジション(英語表記)
- 4. 利き足:Right / Left / Both
- 5. 身長・体重:cmとft/in、kgとlbを併記
- 6. 所属:現在のクラブと学校、リーグ名とその英語説明
- 7. 映像で探す目印:背番号とユニフォームの色
- 8. 映像リンク:ハイライトとフルマッチ
- 9. 今後の試合日程:大会名と日付
- 10. 学業:評定平均(尺度付き)、志望専攻、英語試験のスコアまたは受験予定
- 11. NCAA ID:Eligibility Centerに登録済みなら10桁のIDと状況
- 12. 推薦者と連絡先:クラブ・学校の指導者、本人と保護者のメール、日本時間の表記
この12項目がそろっていれば、コーチは「どこで・どのレベルで・いつ卒業する選手か」を1分以内に把握できます。
例:英文プロフィールのレイアウト
以下は架空の選手(例)を使ったレイアウト見本です。数字はすべて例です。 実際には自分の情報に置き換えてください。
TARO YAMADA (例) — Class of 2027 — Center Back / Defensive Midfielder (6)
Right-footed | 5'11" (180 cm) | 159 lb (72 kg)
Club: Example FC U-18 — Prince League Kanto (regional top-tier U-18 league, tier below the national Premier League)
School: Example High School, Tokyo (graduating March 2027; seeking Fall 2027 enrollment)
Jersey: #4, blue kit (home) / white (away)
Highlight video: [link] Full match (vs. Example SC, Sept 2026): [link]
Upcoming: Prince League Kanto, Nov 8 & Nov 15, 2026 (JST)
Academics: GPA 4.1 / 5.0 (Japanese 5-point scale, unweighted) | Intended major: Business
English: TOEFL iBT planned Dec 2026 | NCAA ID: 1234567890 (例)
References: Head Coach, Example FC — email (English OK)
Contact: taro@example.com | Parent: parent@example.com | Time zone: JST (UTC+9)
ポイントは、リーグ名のすぐ後に英語で一言説明を付けていることと、卒業月と入学希望時期を明記していることです。アメリカのコーチは日本のリーグ構造を知らないことが多いので、名前だけでは判断できません。
「Class of」は日本の卒業年でどう書く?
「Class of 2027」とは「2027年に高校を卒業する学年」という意味です。日本の高校3年生が2027年3月に卒業するなら、Class of 2027と書きます。 アメリカの学年は通常、秋に始まり春〜初夏に終わります。そのため、日本の3月卒業もアメリカと同じ「その年の卒業生」として扱うのが自然です。
| 日本の学年(2026年10月時点) | 卒業予定 | 表記 | 秋入学の目安 |
|---|---|---|---|
| 高校3年 | 2027年3月 | Class of 2027 | 2027年秋 |
| 高校2年 | 2028年3月 | Class of 2028 | 2028年秋 |
| 高校1年 | 2029年3月 | Class of 2029 | 2029年秋 |
| 中学3年 | 2030年3月 | Class of 2030 | 2030年秋 |
※参考:アメリカの「junior year(11年生)」は日本の高校2年生、「senior year(12年生)」は高校3年生に当たります。NCAAの規則では、中学3年生が「9年生(school year nine)」に当たります。
卒業後にギャップイヤーを取る場合や、1月(春学期)入学を考えている場合は、「Graduated March 2027; seeking January 2028 enrollment」のように、卒業年と入学希望時期を分けて書くと誤解を防げます。
日本のサッカーを英語で説明する
リーグや大会の名前は、英語の一言説明を添え、アメリカのリーグと「同等」だとは書かないのが原則です。 ECNLやMLS NEXTと比べたくなりますが、構造も選考の仕組みも違うため、コーチに誤解を与えかねません。事実だけを書き、判断はコーチに任せましょう。
| 日本語 | 英語での説明(例) |
|---|---|
| 高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグ | National top-tier U-18 league in Japan (EAST and WEST, 12 teams each in 2026), including J.League academies and high school teams |
| プリンスリーグ(関東など) | Regional top-tier U-18 league (9 regions), one tier below the Premier League; promotion via playoff |
| 都道府県リーグ | Prefectural U-18 league, below the Prince League |
| 高体連(高校サッカー部) | High school soccer under the All Japan High School Athletic Federation |
| Jクラブユース | Youth academy (U-18) of a professional J.League club |
| 街クラブ | Independent (non-professional) youth club |
| 全国高校サッカー選手権 | All Japan High School Soccer Championship (national winter tournament) |
| インターハイ | Inter-High (All Japan High School Athletic Meet), summer national tournament |
2026年のプレミアリーグは、EASTとWESTの各12チーム、計24チームで行われています(JFAの公表による)。数字は年によって変わるため、書く年の情報を確認してください。ポジションの英語表記(例:ボランチ=defensive midfielder (6))はポジションを英語で正しく伝えるで詳しく解説しています。
身長・体重と名前の書き方
身長は「5'11" (180 cm)」、体重は「159 lb (72 kg)」のように、アメリカ式と日本式を併記します。 換算の基本は、1インチ=2.54cm、1フィート=12インチ、1kg=約2.2046ポンドです。
| cm(例) | ft/in | kg(例) | lb |
|---|---|---|---|
| 165 cm | 5'5" | 55 kg | 121 lb |
| 170 cm | 5'7" | 60 kg | 132 lb |
| 175 cm | 5'9" | 65 kg | 143 lb |
| 180 cm | 5'11" | 70 kg | 154 lb |
| 185 cm | 6'1" | 75 kg | 165 lb |
※インチは四捨五入しています。測定値は最新のものを使い、盛らないことが大切です。コーチは実際に会ったときに必ず確認します。
名前はパスポートと同じローマ字表記・同じ順番にそろえます。Eligibility Center、出願書類、I-20と表記がずれると、確認作業に時間がかかることがあります。英語圏の慣習に合わせて「名・姓」の順にする場合も、すべての書類で統一しましょう。
学業・資格のブロック
評定平均は5段階のまま「GPA 4.1 / 5.0 (Japanese 5-point scale)」のように尺度を付けて書き、自分で4.0満点に換算しないのが安全です。 換算方法は学校や評価機関によって違うためです。NCAAは独自の基準でコア科目を評価し、大学も成績評価機関のレポートを使うことがあります。自己流の換算は、後で数字が食い違う原因になります。詳しくは英文成績証明書とGPA評価を参照してください。
- 志望専攻:決まっていなければ「Undecided (interested in business)」でも構いません。
- 英語試験:スコアがあれば記載し、なければ受験予定日を書きます。
- NCAA ID:Eligibility Centerに登録済みであれば、10桁のNCAA IDを書きます。コーチが学校の希望リストに追加するときに使います。登録の流れはNCAA Eligibility Centerの登録時期で解説しています。
映像と日程のブロック
映像リンクは「ハイライト」と「フルマッチ」の2種類を用意し、背番号とユニフォームの色を必ず書きます。 コーチがフルマッチで選手を探せるようにするためです。リンクはシークレットウィンドウで開けるか(ログインなしで見られるか)を確認しましょう。最初のメールの書き方と映像の送り方はリクルート映像とコーチへのメールにまとめています。
今後の試合日程は、日付・大会名・日本時間を書きます。配信がある試合は、そのリンクも添えるとよいでしょう。
よくある間違い
多くの失敗は「古い」「盛っている」「探せない」の3つに分類できます。
- 1年以上前の映像や測定値を使っている
- 公式記録のない数字(スプリントのタイムなど)を、根拠を示さずに書いている
- 名前の表記が書類ごとに違う
- 卒業年(Class of)を書いていない、または入学希望時期と混同している
- PDFのファイル名が日本語、または「profile.pdf」だけになっている(例:「Taro_Yamada_Classof2027_CB.pdf」のようにする)
- 受賞歴に説明がない(例:「県選抜」は「Prefectural select team (U-17)」のように説明する)
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どこに置き、いつ更新する?
プロフィールは「メールに添付するPDF」が基本です。オンラインのプロフィールやSNSの自己紹介にも、同じ情報をそろえておきます。 コーチが検索したときに、内容に食い違いがないことが信頼につながります。更新はシーズンの区切りごと(夏・冬など)と、新しい映像や成績が出たタイミングで行い、ファイル名に日付を入れておくと管理しやすくなります。
学年別:いつ作り、何を足すか
プロフィールは早めに1枚目を作り、学年が上がるごとに中身を厚くしていくのが現実的です。 最初から完璧を目指す必要はありません。あとで足す項目を見越して、レイアウトを決めておきましょう。
| 時期(例) | やること | 追加・更新する項目 |
|---|---|---|
| 高校1年の冬〜高校2年の春 | 1枚目を作り、映像を集め始める | 氏名、Class of、ポジション、所属、測定値 |
| 高校2年の夏〜秋 | コーチへの最初の連絡を始める | ハイライト映像、評定平均、志望専攻 |
| 高校2年の冬〜高校3年の春 | Eligibility Centerに登録し、英語試験を受ける | NCAA ID、英語スコア、推薦者 |
| 高校3年の夏〜秋 | 出願とコーチとのやり取りを本格化 | 最新のフルマッチ、今後の日程、最新の成績 |
※時期はあくまで例です。ディビジョンや志望校によって、連絡が可能になる時期や出願の締め切りは異なります。
保護者ができること
保護者の役割は、事実の確認と連絡体制づくりです。 プロフィールの中身は選手本人の言葉で作るのが理想ですが、次の点は家族で支えられます。
- 成績証明書、パスポート、測定記録など、数字の出どころをそろえておく
- 保護者用のメールアドレスを用意し、コーチからの返信を見落とさないようにする
- 時差を踏まえ、返信の目安(例:24時間以内)を家族で決めておく
- 英文を確認してくれる人(学校の英語の先生、所属クラブの指導者など)を探しておく
送る前の最終チェック
送信ボタンを押す前に、コーチの立場で30秒だけ読み直してください。 次のチェックをすべて通ったら送りましょう。
- 1枚に収まっていて、上から「誰・いつ卒業・どのポジション・どのレベル」が分かる
- 氏名の表記がパスポート・出願書類と一致している
- リーグや大会名に英語の説明が付いている
- 身長・体重が併記されていて、測定値が最新
- 評定平均に「/ 5.0」と尺度が付いている
- 映像リンクがログインなしで開ける(シークレットウィンドウで確認済み)
- 背番号とユニフォームの色を書いている
- 連絡先に保護者のメールと「JST (UTC+9)」が入っている
- PDFのファイル名が英語で、氏名・卒業年・ポジションが入っている
- 英語の綴りを、英語の先生や指導者に一度見てもらった
よくある質問
Q. 顔写真は必要ですか? A. 必須ではありませんが、映像の中で選手を見分ける助けになるため、小さく載せる人もいます。載せる場合は、最近の写真を使いましょう。
Q. 日本では公式のスタッツが少ないのですが、どうすればいいですか? A. 出場試合数、得点、アシストなど、確認できる数字だけを書き、出典(リーグの公式記録など)が分かるようにします。推測の数字は書かないでください。
Q. 加重(weighted)と非加重(unweighted)のGPAはどちらを書くべきですか? A. 日本の評定平均は通常、加重ではありません。「unweighted」と尺度を明記し、換算は評価機関や大学に任せるのが安全です。
Q. 浪人やギャップイヤーは書くべきですか? A. はい。卒業年と現在の状況(例:「Graduated March 2026; training with Example FC」)を正直に書きます。資格への影響は、ディビジョンごとのルールで確認してください。
Q. 日本語版と英語版の両方が必要ですか? A. コーチに送るのは英語版だけで十分です。日本語版は、保護者や日本の指導者と内容を確認するために作っておくと便利です。
Q. 推薦されていなくても送っていいですか? A. もちろんです。ウォークオンを考えている場合も、プロフィールは判断材料になります。詳しくは大学サッカー ウォークオンとトライアウトの現実を参照してください。
まとめ
プロフィールは、選手を「すごく見せる」ための資料ではなく、コーチが選手を正しく判断するための資料です。12項目をそろえ、日本のリーグを英語で説明します。単位は併記し、評定平均は尺度付きで示します。これで、名前ではなくFITで比較してもらえる土台ができます。結果を約束できる資料はありませんが、正確で読みやすいプロフィールは、コーチとの最初の会話のきっかけになります。
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出典・参考:JFA「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2026 リーグ概要」、NCAA Guide for the College-Bound Student-Athlete 2026-27(NCAA ID・international student-athleteの定義)、リクルーティング実務の一般的なガイド(NCSAなど)。2026年10月時点の情報です。

