アメリカ大学サッカー留学で渡米すると、プレシーズンの練習と同時に、生活の手続きが一気に押し寄せます。「SSN(社会保障番号)は取らないといけない?」「銀行口座は?」「携帯は日本のままでいい?」——結論から言うと、最初の1か月はSSNがなくても生活は回ります。SSNは、学内アルバイトなど就労が認められたときに申請するもので、入学やスポーツ奨学金のためだけには発行されません。大事なのは、到着直後に留学生担当(DSO)へ連絡し、口座と携帯を先に整え、働くかどうかはそのあとで決めることです。
この記事の範囲は、渡米後30日の生活の立ち上げです。出発前に日本側で準備することは 出発前90日の保護者チェックリスト に、内定からビザ・渡航までの流れは 内定後のビザと渡米準備 に、学費の請求と送金ルートは 学費の払い方 にまとめているので、本稿では繰り返しません。情報は2026年10月時点で SSA(社会保障局)、Study in the States・ICE(国土安全保障省の留学生向け情報)、IRS(内国歳入庁)などの公式情報を確認したものです。法律・移民・税務の助言ではありません。個別の判断は、必ず大学の DSO に確認してください。
定義(答えの形): F-1 の留学生は、学内アルバイトなど就労が認められた場合にだけ SSN を申請でき、入学のためだけには発行されません(SSA「International Students and Social Security Numbers(Publication No. 05-10181)」)。SSN がない学生には、大学が別の学生番号を発行します。
結論:最初の1か月はSSNなしで回る。SSNは「働くと決まってから」
答えから書きます。渡米後の1か月でやることは、次の順番で考えるとシンプルです。
- 到着したらすぐ DSO に連絡し、大学でのチェックインを済ませる
- 学生証・学生ポータル・寮の住所を確定させる
- 銀行口座と携帯を用意する(どちらも SSN なしで始められることが多い)
- 授業が始まり、フルタイムの履修を確定させる
- 学内アルバイトをするかどうかを決める。働くと決まったら SSN を申請する
SSN を取るために、到着してすぐ社会保障局の窓口へ行く必要はありません。働く予定がなければ、SSN がないまま4年間を過ごす選手もいます。
渡米後30日カレンダー(サッカー選手版)
答え:サッカー選手は、一般の留学生より早くプレシーズンのために渡米することが多いので、手続きと練習が重なります。下は一般的な流れの例です。
到着〜48時間:DSOへ連絡・チェックイン
Study in the States は、F-1 の学生はプログラム開始日の30日前より早く入国しないこと、入国したらすぐに DSO に連絡すること、大学に着いたら I-20 に記載された開始日までにあらためて DSO に連絡することを求めています。プレシーズンで早めに渡米する場合も、この30日の枠の中かどうかを確認しておきましょう。報告日の考え方は プレシーズンの報告日 にあります。
なお、F-1 の滞在期間を「在学期間中(duration of status)」から固定期間に変える規則が2026年7月に公表されましたが、2026年9月14日にマサチューセッツ州の連邦地裁が全米で施行を延期したため、現時点では従来の duration of status が続いています。国土安全保障省は控訴しており、今後変わる可能性があります。I-94 の記載や今後の扱いは、DSO の最新の案内に従ってください。
1週目:学生証・ポータル・住所・保険
学生証の発行、学生ポータルへのログイン、大学メールの設定を済ませます。寮の住所は銀行口座や郵便物の受け取りに使うので、早めに確定させましょう(寮の選び方は 1年目の住まい)。大学の学生保険への加入や、ほかの保険を使う場合の手続き(ウェイバー)も、この時期に締め切りが来ることが多いです。保険の詳しい扱いは 留学生の健康保険 にまとめています。
1〜2週目:銀行口座と携帯
授業が始まる前のこの時期に、口座と携帯をそろえておくと、その後がずっと楽になります。詳しくは後述します。
2〜4週目:授業開始・フルタイムの履修確定
授業が始まったら、フルタイムの履修単位を確定させます。F-1 では毎学期フルタイムで在籍することが求められ、授業を落とす前には DSO に相談することになっています。在籍ルールは F-1のフルタイム在籍とシーズン を参照してください。学内アルバイトを考えるなら、時間割と練習の予定が見えたこの時期に判断します。
SSNは必要?——要る人・要らない人
答え:SSN が必要になるのは、就労が認められたときです。入学、授業、スポーツ奨学金、銀行口座の開設のためだけには、SSN は発行されません。
| SSN は要らない(この目的だけでは発行されない) | SSN が要る(申請できる) |
|---|---|
| 大学に入学する・授業を受ける | 学内アルバイトをすると決まった |
| スポーツ奨学金(athletic aid)を受け取る | CPT(カリキュラムの一部としての実習)が認められた |
| 学生番号を作る(大学が別の番号を発行) | OPT などで就労許可証(EAD)を得た |
| 銀行口座を開く(多くの銀行は SSN なしで開設可) | ― |
スポーツ奨学金は「仕事」ではない
スポーツ奨学金は学費や寮費に充てられる援助で、雇用による給料ではありません。SSA は、SSN は原則として就労が認められた人に発行するものとしているため、奨学金を受け取るだけでは SSN の対象になりません。奨学金に関わる税の扱いは前述の学費の記事で触れています。
学内アルバイトでSSNを申請するときに必要なもの
SSA の案内では、F-1 の学生が学内の仕事で SSN を申請する場合、次のようなものが必要です。
- 有効なパスポート(入国スタンプ)、I-94、I-20 の原本
- DSO からの手紙(本人の特定、現在の在籍状況、雇用主と仕事の内容を記載したもの)
- 雇用主からの手紙または最近の給与明細(仕事内容・勤務開始日・勤務時間・上司の名前と電話番号を記載し、上司が署名・日付を入れたもの)
手続きのポイントも押さえておきましょう。
- 大学に到着・報告してから48時間ほど待ってから申請すると、移民ステータスの確認がスムーズになると SSA は案内しています。
- 申請はオンラインで始め、45日以内に社会保障局の窓口へ書類を持って行く流れです。
- 勤務開始日が申請日から30日より先の場合、申請は処理されません。
- カードは承認後、多くの場合14日ほどで郵送されます。
- SSN が届く前でも働き始めることはでき、雇用主は SSA の申請済みの手紙などを使って手続きできると案内されています。
学内アルバイトのルール
Study in the States と ICE によると、F-1 の学生は学内の仕事を DSO と相談のうえで行うことができ、授業期間中は全部の仕事を合わせて週20時間まで、休暇期間中はフルタイムで働けます。学内の仕事は授業開始の30日前から始めることができます。許可のない就労は在籍資格を失う重大な問題になるため、働く前に必ず DSO に確認してください。
選手の現実:シーズン中の週20時間は重い
授業、練習、遠征、トレーニングルームでのケアを考えると、シーズン中に週20時間働くのは簡単ではありません。働きたい場合は、DSO だけでなく、コーチとアスレチック部のコンプライアンス担当にも先に相談しましょう。学外での就労や卒業後の働き方は OPT・CPTとキャリア にまとめています。NIL(名前や肖像の活用)による収入の話も、F-1 では就労の扱いが関わるため、必ず先に DSO に確認してください。
銀行口座はSSNなしで開ける?
答え:多くの場合、開けます。消費者金融保護局(CFPB)の新しく来た人向けのチェックリストでは、口座開設時の本人確認番号として SSN のほか、ITIN やパスポート番号と発行国なども使えると説明しています。ただし、受け付ける書類は銀行ごとに違います。
口座開設で求められることが多いもの
- 写真付きの身分証明書(パスポートなど。外国の身分証を受け付けるかは銀行による)
- 住所の確認(寮の住所が記載された書類など)
- 本人確認番号(SSN、ITIN、パスポート番号など)
- 開設時の入金(CFPB の資料では25〜100ドル程度が一般的とされています)
CFPB の資料は、SSN や ITIN がないと、利息のつかない口座しか開けない場合があるとも説明しています。大学によっては、新入生向けに銀行の担当者がキャンパスに来ることもあるので、オリエンテーションの案内を見ておきましょう。
なぜアメリカの口座が必要?
- 奨学金などで学費を上回った分の返金(refund)を受け取る
- 寮や食事のデポジット、キャンパス内の支払い
- チームメイトとの割り勘アプリや、立て替えの精算
- 日本からの送金の受け取り
学内口座の仕組みや、返金が出るタイミングは、前述の学費の記事で詳しく説明しています。
口座を選ぶときに聞くこと
- 月額の手数料と、手数料がかからない条件(最低残高など)
- 海外からの送金を受け取るときの手数料
- デビットカードの発行と、ATM の手数料
- モバイルアプリやオンラインバンキングの使いやすさ
- 残高不足のときの手数料(overdraft)と、その避け方
携帯・通信:最初の1本
答え:到着した週に、アメリカの電話番号を1本用意しておくのがおすすめです。大学のポータルやチームの連絡アプリ、二段階認証などで、アメリカの番号が求められることが多いからです。
選択肢
- 日本の番号を残す:海外ローミングやeSIMを使って、日本の番号でSMSを受け取れるようにしておく(日本の銀行の認証などで必要になることがあります)
- アメリカのプリペイドSIM・eSIM:契約の審査が比較的少なく、SSN がなくても始めやすい方法です
- アメリカの後払いプラン:SSN がない場合、デポジットを求められることがあります。条件は各社で確認してください
チームメイトに使っている会社を聞くと、キャンパスでつながりやすいかどうかの参考になります。日本側での準備(SIM ロック解除など)は、出発前のチェックリストで確認できます。
州ID・運転免許(必要な人だけ)
答え:キャンパス内で生活するなら、急いで取る必要はないことが多いです。取る場合は、到着から少なくとも10日待ち、SEVIS の記録が有効(Active)になっていることを確認してから申請するよう ICE の資料は案内しています。
州によっては SSN、または SSN を発行できないことを示す SSA の通知書(Form SSA-L676)の提出を求められることがあります。必要書類は州ごとに大きく違い、ICE の資料も古いものがあるため、住んでいる州の DMV(運転免許の窓口)と DSO で最新の条件を確認してください。
税金の書類:Form 8843だけは知っておく
答え:F-1 の学生は、税法上「exempt individual(滞在日数の計算から除外される人)」にあたり、Form 8843 という書類を提出するのが基本です。アルバイトなどの収入がなくても関係する書類なので、存在だけは1年目から知っておきましょう。
IRS の Form 8843 の説明では、税務申告書(Form 1040-NR)を提出する場合はそれに添付し、申告書を出す必要がない場合は、1040-NR の提出期限(延長を含む)までに IRS のテキサス州オースティンの宛先へ Form 8843 を単独で郵送するとされています。毎年の書式と期限は IRS の公式サイトで確認してください。多くの大学は、春に留学生向けの税の説明会やソフトウェアを用意しています。
ITIN(個人納税者番号)は、SSN を取得できないものの、税務上の番号が必要な人のための番号です。全員に必要なものではないので、必要かどうかは大学の留学生オフィスや税務の窓口で確認してください。この節は税務の助言ではありません。
保護者が日本からできること(チェックリスト)
答え:保護者が日本からできることは、お金の流れ、書類の控え、連絡の仕方の三つを整えることです。本人が現地で手続きに集中できるよう、後ろから支える役割です。
お金
- 日本からの送金ルートを1本決めておく(学費の記事を参照)
- 日本のクレジットカードの家族カードを用意し、海外利用の設定と利用限度額を確認する
- 口座ができるまでの数週間に使える現金・カードの予算を決める
- 緊急時に使えるお金の置き場所(どのカード・どの口座か)を本人と共有する
書類
- パスポート、ビザ、I-20、I-94、保険証のコピーを家族側でも保管する(クラウドと紙の両方)
- 大学の DSO、寮、チームスタッフの連絡先を控える
連絡
- 最初の2週間は、手続きの進み具合を短く確認する程度にとどめる
- 時差を考え、連絡する時間帯を決めておく
渡米後の気持ちの波については 1年目のホームシックとカルチャーショック で整理しています。本人が18歳未満の場合は、契約や署名で保護者が必要になる場面があります → 18歳未満の留学と住まい。
到着後の手続きまで見据えて、大学選びと準備を一緒に整理したい方は、相談の申し込み から状況を送れます。ビザや在籍資格の結果を約束するものではありません。
つまずきやすい5つ
答え:最初の1か月のつまずきは、ほとんどが「順番」の問題です。
- SSN を取るために窓口へ行き、断られる:就労の予定がなければ発行されません。
- 口座がなく、返金(refund)の受け取りが遅れる:紙の小切手での受け取りになり、手間がかかることがあります。
- アメリカの番号がなく、ポータルの認証ができない:到着初週に番号を用意しましょう。
- 就労を自己判断で始める:学内の仕事も、必ず DSO に確認してから始めます。
- Form 8843 の提出を忘れる:収入がなくても関係する書類です。
NextPitchの考え方
NextPitch は、有名校ではなく FIT を軸に大学選びを考えます。生活の立ち上げを手伝ってくれる留学生オフィスやチームのサポート体制があるかどうかも、名前ではなく FIT で見るべき大学選びの一部です。アメリカ大学サッカー留学の全体像は カレッジハブ にまとめています。
出願の段階で必要になる成績書類については、英文成績証明書・翻訳・GPA換算 で整理しています。
FAQ
SSNがないと困ることは? 最初の1か月で大きく困ることは多くありません。銀行口座や携帯は SSN なしで始められることが多く、大学は別の学生番号を発行します。就労する場合や、州によって運転免許を申請する場合に関わってきます。
奨学金をもらうのにSSNは要る? スポーツ奨学金は就労ではないため、それだけでは SSN は発行されません。手続き上の番号については大学の指示に従ってください。
学内でアルバイトしていい?何時間? DSO と相談のうえで、学内の仕事ができます。授業期間中は全部の仕事を合わせて週20時間まで、休暇中はフルタイムが可能です。シーズン中はコーチとコンプライアンスにも相談しましょう。
日本の携帯はそのまま使える? 日本の番号を残しつつ、アメリカの番号を1本持つのが便利です。日本の番号はローミングや eSIM で SMS を受け取れるようにしておくと、日本の銀行の認証などで役立ちます。
親の口座から直接払える? 大学指定の支払い方法であれば、日本から直接支払える場合が多いです。詳しくは学費の記事を参照してください。
Form 8843は収入ゼロでも出す? F-1 の学生は、税務申告書を出す必要がない場合でも、Form 8843 を単独で提出するのが基本です。書式と期限は IRS の公式サイトで確認してください。
次の一手
到着後の手続きまで見据えて、大学選びと準備を一緒に整理したい方は 相談の申し込み へ。ビザ・在籍資格・奨学金の結果を約束するものではありませんが、渡米後に慌てないための準備の順番を一緒に考えます。

